「まだ住宅ローンが残っているけれど、家は売れるのだろうか?」
住み替えや転勤、家族構成の変化などをきっかけに売却を考え始めたとき、この点が気になる方は多いのではないでしょうか。
結論からいうと、住宅ローンが残っている家でも売却することは可能です。ただし、売却価格だけを見て「これなら大丈夫」と判断するのは少し早いかもしれません。まず確認したいのは、
- 住宅ローンがあといくら残っているのか
- 家がいくらくらいで売れそうなのか
- 売却にどのくらい費用がかかるのか
- 売却後に手元へいくら残るのか
といった「お金の全体像」です。
今回は、住宅ローンが残っている家を売るとき、最初に整理しておきたいポイントを順番に見ていきます。
まずは住宅ローンの「残高」を確認する
最初に確認したいのが、現在の住宅ローン残高です。毎月返済している金額は分かっていても、「今、一括返済すると実際にいくら必要なのか」までは把握していない方も少なくありません。
住宅ローンの残高は、
- 金融機関の残高証明書
- インターネットバンキング
- 返済予定表
- 金融機関への問い合わせ
などで確認できます。
ここで大切なのは、購入時の借入額ではなく、売却する時点でいくら返済する必要があるのかを確認することです。
「ローン残高」と「売れそうな価格」を比べてみる
次に、住宅ローン残高と現在の家の価格を比べます。
例えば、
住宅ローン残高:2,000万円
売却できそうな価格:2,800万円
であれば、一見すると800万円ほど余裕があるように見えます。ただし、実際にはここから売却に必要な費用が差し引かれます。
逆に、
住宅ローン残高:2,800万円
売却できそうな価格:2,500万円
という場合は、売却代金だけでは住宅ローンを完済できない可能性があります。このように、まずは「売却価格とローン残高の関係」を把握することが第一歩です。
売却価格がそのまま手元に残るわけではない
家が3,000万円で売れたからといって、3,000万円がそのまま自由に使えるわけではありません。
不動産売却では、状況に応じてさまざまな費用がかかります。例えば、
- 仲介手数料
- 印紙税
- 抵当権抹消などの登記関係費用
- 住宅ローンの一括返済に伴う手数料
- 測量費や解体費など
- 売却益が出た場合の税金
などです。
必要な費用は物件や契約内容によって異なります。そのため、売却価格-住宅ローン残高=手元に残るお金と単純に考えないようにしましょう。
住宅ローンが残っている場合は「抵当権」も確認する
住宅ローンを利用して購入した不動産には、多くの場合、金融機関の抵当権が設定されています。抵当権とは、住宅ローンの返済ができなくなった場合などに、金融機関がその不動産から優先的に返済を受けるための権利です。
一般的な不動産売却では、住宅ローンを完済して、この抵当権を抹消したうえで買主へ引き渡します。法務局でも、住宅ローン完済後の抵当権抹消登記について案内されています。
そのため、「ローンが残っていても売却活動はできる」。一方で、「最終的にはローンを返済して抵当権を外せる状態にする必要がある」という点は覚えておきましょう。
売却代金でローンを完済できる場合
売却代金から諸費用を差し引いても住宅ローンを完済できそうであれば、比較的整理しやすいケースです。
実際の取引では、物件の引渡し日に買主から受け取った売却代金を住宅ローンの返済に充て、抵当権抹消と所有権移転の手続きを進めるケースがあります。
ただし金融機関によって、
- 一括返済の申込み期限
- 必要書類
- 手数料
- 手続き方法
などが異なります。売却が具体的になった段階で金融機関へ確認しておくと安心です。
売却してもローンが残りそうな場合は要注意
特に慎重に考えたいのが、売却価格よりも住宅ローン残高のほうが多い場合です。
例えば、
売却価格:2,500万円
ローン残高:2,700万円
であれば、単純計算でも200万円不足します。さらに売却費用も必要になります。この場合、不足分を自己資金などで補って住宅ローンを完済できるのかを確認する必要があります。
「とりあえず売りに出してから考えよう」ではなく、売却前に資金計画を確認しておくことが重要です。
査定価格をそのまま「売れる金額」と考えない
自己防衛という意味でも、ここは重要なポイントです。
不動産会社から、「3,000万円くらいで売れそうです」という査定を受けたとしても、査定価格は売却を保証する金額ではありません。
実際には、
- 周辺の競合物件
- 建物の状態
- 市場の動き
- 購入希望者からの反響
などによって、成約価格が変わる可能性があります。
住宅ローン完済の可否を考える場合は、高い査定額だけを前提に資金計画を立てないことが大切です。
不動産会社には、
「この価格の根拠は何ですか?」
「実際の成約価格はどのくらいを想定していますか?」
と聞いてみてもよいでしょう。
住み替えの場合は「次の家のお金」も一緒に考える
現在の家を売って新しい家を購入する場合は、さらに考えることが増えます。
- 今の住宅ローン残高
- 現在の家の売却代金
- 売却にかかる費用
- 新しい家の購入費用
- 新しい住宅ローン
- 引っ越し費用
などをまとめて考える必要があります。
「今の家がいくらで売れるか」だけではなく、売却後の生活まで含めて資金計画を考えることが大切です。
地元の不動産会社には「いくらで売れる?」だけでなく「いくら残る?」も聞いてみる
不動産会社に相談するとき、多くの方は、「この家はいくらで売れますか?」と質問します。
もちろん、それも大切です。
ただ、住宅ローンが残っている場合は、「売却した場合、費用を含めるとどのくらい手元に残りそうですか?」という視点も持っておきましょう。
地域の取引状況に詳しい不動産会社であれば、
- 現実的な売却価格
- 想定される売却期間
- 周辺の成約事例
- 必要になりそうな費用
などを踏まえて整理してくれます。
複数社に相談する場合も、単純に査定額だけを比較するのではなく、資金計画まで分かりやすく説明してくれるかを見てみるとよいでしょう。
まとめ
住宅ローンが残っている家を売却するときは、まず、
- 現在の住宅ローン残高を確認する
- 家がいくらくらいで売れそうか確認する
- 売却にかかる費用を整理する
- 売却代金でローンを完済できるか確認する
- 売却後に手元へいくら残るか考える
という順番で整理してみましょう。
大切なのは、「売れるかどうか」だけではなく、「売ったあとにお金がどうなるのか」まで把握してから判断することです。
住宅ローンの残高や売却価格によって、取れる選択肢は変わります。
まだ売却すると決めていない段階でも構いません。
まずはローン残高を確認し、現在の相場と照らし合わせながら、自分たちの状況を整理してみるところから始めてみてください。